🪄 はじめに:ブラック家の家紋には、魔法界の“根幹”が隠されている
最初にこの家紋をじっくり見たとき、わたしは正直ゾクッとしました。
骸骨。月桂樹。3羽のカラス。
その下に、さらっと巻かれているリボンには「Toujours Pur」──「常に純粋に」。
ハリーポッターの物語の中で、ブラック家は常に特別な位置にいます。
魔法界でも名の知れた純血の名門であり、同時に「時代に取り残された一族」としても描かれますよね。
でも、この家紋をひとつひとつ象徴として分解して眺めてみると、
そこには「ただの血統主義」では説明できない、もっと古くて深い物語が見えてきます。
この記事では、海の魔女であるわたしが、
- ブラック家の家紋に描かれた6つのモチーフ
- それぞれが象徴する意味
- そして最終的に浮かび上がってくる、“妖精王マナナン・マク・リールとの古代盟約説”
を、じっくりと考察していきます🕯️
⚜️ ブラック家の家紋をざっくり観察してみる
6つのモチーフで構成された“物語の図形”
まずは、難しい話に入る前に、ブラック家の家紋を構造として整理してみます。
家紋に描かれている主な要素は、この6つです👇
- 🏹 月桂樹の冠を被った髑髏
- ⭐ 15個の星
- 🪄 杖(あるいは剣)を掲げた腕
- ⚫ 黒い帯(バンド)
- 🐦⬛ 3羽のカラス
- 🎀 リボンに書かれた「Toujours Pur」
上半分には
「月桂樹+髑髏」「星」「掲げられた腕」
下半分には
「黒い帯」「3羽のカラス」「家訓のリボン」
という形で、上下二層構造になっているように見えます。
上半分は
「どうやって力と栄光を手に入れたのか」という 過去と契約の物語
下半分は
「その力を何のために使うのか」という 使命と守護の物語
として読み解くことができるのです。
では、それぞれの記号をひとつずつ、ゆっくり見ていきましょう🪄

🌿 第1章:月桂樹の冠を被った髑髏──“死を超える栄光”のシンボル
月桂樹:永遠と勝利の象徴
まず、髑髏がかぶっている月桂樹の冠から。
月桂樹は、古代ギリシャ・ローマ世界で
- 常緑であること → 「永遠・不変」
- 勝者に与えられた冠 → 「勝利・栄光」
- 太陽神アポロンとの結びつき → 「神聖さ」
といった意味を持つ木でした。
「散らない葉」「栄光の冠」。
ブラック家がこの象徴を自分たちの家紋に採用したということは、
明らかに“永遠の名誉”を意識していると考えられます。
髑髏:恐怖ではなく“真理”としての死
対して、冠をかぶっているのは髑髏(頭蓋骨)。
髑髏のイメージと言えば、
- 死そのもの
- 恐怖・不吉
- 無常・すべてはやがて朽ちる
が真っ先に浮かびますよね。
でも同時に、髑髏はこうも読めます。
- 「どれほど身分や財産が違っても、死ねばみな同じ」 → 死における平等
- 「肉体を超えた、むき出しの魂の姿」 → 真理へのまなざし
ハリー・ポッターの世界で描かれる「死」は、恐怖の対象であると同時に、
「次の旅への入り口」としても語られます。
ハリーポッターの物語において、
死とは拒むのではなく、理解し、受け入れ、越えるものなのです。
死者を哀れむな。
愛なく生きる者こそ、哀れむべきだ。
というダンブルドアの思想にも通じますよね。
「死を受け入れる者こそ、永遠の栄光を得る」
月桂樹(永遠・勝利)+髑髏(魔法界での死・平等の解釈)。
この二つを重ねると、こんなメッセージが浮かび上がります。
「死を恐れず受け入れる者こそ、永遠の栄光に至る」
そして、この“死を越える力”というテーマは、
あなたが以前から考察してきた妖精王マナナン・マク・リールの性質とよく似ています。
- 彼は海と霧を操る、境界の王
- 死者を恐れず、向こう側へ導く“渡し守”
- 死そのものではなく、死と生の間に立つ存在
ブラック家の冠を戴く髑髏は、
「死を支配しようとする者」ではなく、「死の向こうへ導く存在」──
つまり、妖精王への忠誠と、その加護を象徴していると読むこともできるのです🕯️
🌟 第2章:15個の星と掲げられた腕──“契約の印と力の継承”
15個の星が暗示するもの
次に目を引くのが、家紋に散りばめられた15個の星。
星にはもともと、
- 夜の道しるべ → 導き・希望
- 神々の住む場所 → 高次の世界
- 願いや祈りの象徴 → 信念・理想
といった意味があります。
数に注目すると、「15」というのは少し妙な数字です。
1や3、7のように“神秘的な数”としてよく使われる数字ではありません。
ですが、ハリー・ポッターという作品全体を見ると、
原作7巻+映画8作=15。
もちろん、これは偶然かもしれません。
けれど「星=物語を導く光」と考えると、
ブラック家のエンブレムは “ハリー・ポッター世界全体を映す小さな星図” のようにも見えてきます。
星が15個並ぶことで、
「この家は、魔法界の歴史そのものと深く結びついている」
というメタ的なメッセージが込められている、と読むのも楽しい視点です✨
杖(=剣)を掲げた腕の意味
星の近くには、杖(あるいは剣)を高く掲げた腕が描かれています。
イギリスなどヨーロッパの紋章学では、「腕」が描かれるとき、そこには
- 力
- 権威
- 忠誠
- 行動力
といった意味が込められます。
そして、その手に握られているものによってニュアンスが少し変わります。
剣であれば、
- 勇気
- 戦う意志
- 正義と保護
杖であれば、
- 魔法の才
- 知恵
- 目に見えない力の行使
として読むことができます。
ブラック家の腕は、「ただ力を誇示する腕」ではなく、
“誓いの力を実行に移す腕”
妖精王に忠誠を誓い、
その代わりに「境界を守る力」を得た一族。
そう考えると、掲げられた杖(=剣)は、
「勇気と忠誠をもって、世界の均衡を守る」
という、ブラック家の原初の役割を象徴しているように見えてきます。
⚫ 第3章:黒い帯──“喪と結界”としてのブラック
家紋の中央を横切るように描かれている黒い帯。
黒は、
- 喪・悲しみ
- 夜・闇
- 無・沈黙
などを連想させますが、同時に「境界」の色でもあります。
「ここから先は別の世界」という線引きとしての黒。
ブラック家(Black)という名字そのものも、
どこか「光の外側に立つ一族」という印象を与えますよね。
この黒い帯の上に、
- 髑髏と月桂樹(死と栄光)
- 星と腕(誓いと力)
- カラスたち(守護)
が載せられている構図は、まるで
「闇の中で、境界線の上に立つ守護者」
のようです。
魔法界とマグルの世界、
現世と異界、
生と死。
そのどれかが混ざりすぎないように、
静かにバランスを取り続ける黒い線──それがブラック家の宿命だったのかもしれません。
🪶 第4章:3羽のカラス──“ロンドン塔の伝承と英国の守護”
カラス=不吉な鳥?それとも守り神?
家紋の下部に描かれた3羽のカラス。
カラスと言えば、
- 死
- 変化
- 知恵
- 霊界とのつながり
など、どこか“境界”を思わせる象徴として、世界中の神話に登場します。
しかし、イギリスのカラスには、もう一つ有名な物語があります。
それが、ロンドン塔の「カラスの伝承」です。
「ロンドン塔からカラスがいなくなったとき、
王国は滅びるだろう」
という言い伝えがあり、
今でも塔の周りではカラスたちが大切に保護されています。
ただの不吉な鳥ではなく、
“王国の運命を握る存在”として扱われているのです。
こうして見ると、ブラック家のカラスは、
「魔法界だけでなく、イギリスそのものを見守る眼」
として描かれているようにも思えてきませんか?🪶
なぜ「3羽」なのか──“三”という魔法の数字
では、なぜ6羽でも1羽でもなく、「3羽」なのでしょうか。
ここには、いくつかの読み方ができます。
- ロンドン塔の“6羽”を、魔法界と人間界で半分ずつ分担している
- 「3」という数字そのものが、ハリーポッター世界で繰り返し使われる重要なリズム
たとえば…
- シリウス・ブラックが本格的に登場するのは3作目『アズカバンの囚人』
- 3つの“死の秘宝”
- 3つの許されざる呪文
- ハリー・ロン・ハーマイオニーという三人組
「3」は、物語において“運命の単位”として使われることが多い数字です。
ブラック家の3羽のカラスは、
「三度、世界を守る役割を引き受けた一族」
あるいは
「三方向(魔法界・人間界・異界)を同時に見ている一族」
と読むこともできます。
少なくとも、「ただ不吉な鳥が3羽飛んでいる」のではなく、
イギリスという国と、魔法界、そしてその背後の異界を結ぶ“象徴的な守護者”として描かれていると考えると、
このモチーフの深みがぐっと増してきますね。
🕯 第5章:「Toujours Pur」──“常に純粋であれ”の真意
家紋のいちばん下、リボンに刻まれた言葉。
それが有名なブラック家の家訓、
「Toujours Pur(トゥジュール・ピュール)」
フランス語で「いつも純粋に」「常に純粋であれ」という意味です。
作中では主に、「純血主義=血の純度を守れ」という文脈で語られています。
しかし、歴史的な背景を重ねてみると、もう少し別の層が見えてきます。
なぜフランス語なのか?貴族と支配階級の言葉
イングランドの歴史をさかのぼると、
1066年のノルマン・コンクエスト以降、支配階級の言葉はしばらくフランス語でした。
- 民衆 → 英語
- 貴族・王侯 → フランス語
という二重構造が生まれ、
フランス語は「支配者の言葉・高貴な家系のコード」として扱われてきました。
ブラック家の家訓がラテン語でも英語でもなくフランス語である、という点は、
「わたしたちは古い貴族階級に属する、特別な家である」
という、階級的な誇りを示していると読めます。
「純血」ではなく「純粋な使命」だった可能性
そこで改めて「Toujours Pur」を直訳に近い形で受け取ってみると、
「つねに自分たちの本質を汚すな」
「いつでも“守るべきもの”に忠実であれ」
という、“使命に対する純粋さ”の意味も立ち上がってきます。
もし、ブラック家が
- 妖精王マナナンから魔力と地位を授かり
- その代わりに「境界を守る」役割を与えられた一族だった
とするならば、もともとの「Toujours Pur」は、
「その役目を忘れるな」「異界との契約を濁すな」
という、非常にスピリチュアルで真剣な家訓だったのではないでしょうか。
時代が下るにつれて、その意味が
「純血でない者を排除しろ」
「純血よ永遠なれ」という方向にゆがめられてしまったのだとしたら──
それこそが、ブラック家の最大の悲劇だと感じます。
🌙 第6章:ブラック家は“境界の家系”──妖精王マナナンとの古代盟約という考察
ここまで、家紋に描かれた6つのモチーフを一つずつ見てきました。
- 月桂樹の冠を被った髑髏 → 死を恐れず受け入れる栄光
- 15個の星 → 物語全体と響き合う、誓いの星座
- 杖を掲げた腕 → 勇気と忠誠をもって契約を実行する力
- 黒い帯 → 境界線そのものとしての“ブラック”
- 3羽のカラス → 王国と世界を見守る守護者
- 「Toujours Pur」 → 本来は使命への純粋さを示す言葉
これらを全部つなぎ合わせると、ひとつの像が浮かび上がります。
それは、
ブラック家=“魔法界と異界、さらにはイギリスそのものを見守る、境界の家系”
という姿です。
あなたがすでに考察してきたように、
- 妖精王マナナン・マク・リールは、海と霧を操る境界の王
- 死を「終わり」ではなく「次の旅」として扱う存在
- 人間に知恵や魔法を授けることもある
ブラック家は、この妖精王と古い盟約を結び、
- 魔法界と異界が混ざりすぎないように見張る
- イギリスという国の均衡が崩れないよう、影で支える
という役割を担っていたのではないか──。
その代わりとして、
- 魔法界でも一目置かれる名門
- 王家にも近い、象徴的な「黒の一族」
として君臨していた、と考えると、
エンブレム全体のつじつまが不思議なほど綺麗に合ってきます。
シリウスは、その役割から逃げようとした存在。
レギュラスは、その本来の使命を思い出し、命を賭して行動した存在。
どちらも、“ブラック家の呪い”と“ブラック家の誇り”を、
それぞれ別の角度から体現した人物だったのかもしれませんね。
🕯 まとめ:ブラック家は“闇を統べる光”だった
最後に、ここまでの考察を、静かにまとめてみます。
- ブラック家の家紋は、単なる「怖い装飾」ではなく
→ 死・栄光・境界・守護・使命が精密に組み込まれた“物語”である - 「Toujours Pur」は、本来
→ 血ではなく、使命の純粋さを求める言葉だった可能性がある - 妖精王マナナン・マク・リールとの関係を重ねると
→ ブラック家=境界線を見張るために選ばれた“影の王家”
そう考えると、ブラック家は、
「闇の貴族」ではなく、
“闇を抱えたまま光を守るために立ち続けた一族”
にも見えてきます。
もし、ハリーの時代に、
ブラック家が本来の意味で“境界の守護者”として機能していたなら──
物語の結末は、少し違う形を取っていたのかもしれません。
でも、それでも世界は続いていきます。
髑髏は笑い、月桂樹は緑を失わず、カラスは今日も塔の上から空を見ている。
🕯️
闇の中で境界線に立ち続ける誰かがいるかぎり、
世界は、ぎりぎりのところでバランスを保ち続けるのだと、
ブラック家の家紋は、静かに教えてくれているように感じます。
──海の魔女より🌙✨



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